谷崎文学に、『陰翳礼賛』という佳作があります。
しかし晧々と照らし出す蛍光灯の高い輝度に馴らされてしまった私たちは、
障子を通す光のやさしさ、やわらかさを忘れてしまっているかもしれません。
気密性と利便性を求めた現代の家が喪失したもの。
それはかつて、「暮らし」と呼ばれていたように思います。

(写真は、京都を代表する写真家・水野克比古氏の作品です)

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